ひねくれ者でどこか自分の限界を決めてしまい、最初の頃はバレーに熱くなれなかったツッキーこと、月島蛍。
彼がバレーに対して冷めた態度になってしまう原因ともなった、兄・明光との過去。
兄との間に何があったのか、どうやってそのトラウマを乗り越えたのか。
ツッキーが少しずつバレーに積極的になっていく道のりを、明光とのやり取りからまとめてみました!
月島兄・明光の初登場は原作10巻88話、アニメ2期8話「幻覚ヒーロー」
明光の初登場は、原作でもアニメでも同タイトルの「幻覚ヒーロー」。弟・月島蛍の過去回に重要人物として登場します。
タイトルが、この回をとても的確に、すごく切なく表しています。
明光と蛍は6歳離れた兄弟。
明光は中学のバレー部でエースとして活躍していました。
小学生の蛍にとって、コートの中で輝く兄の姿は憧れであり、誇りだった。
高校生になった明光は、当時県内で白鳥沢と並ぶほどのバレー強豪校・烏野へと進学します。
朝から晩までバレー漬けの日々。
疲れてはいるけれど、楽しそうな兄の話を蛍は、目をキラキラさせて聞いていました。
しかし、事態は少しずつ変わっていきます。
蛍が試合を見にいきたい、と言っても良い返事をしない明光。
蛍には笑顔を見せるものの、少しずつその表情には影が…。
明光、高校最後の県内試合。見にくるなとは言われているけど、兄の最後の勇姿を見たい、と蛍は試合会場に。
そこには、話に聞いていたエースで活躍する兄の姿はなく、ベンチどころか応援席でメガホンを手に応援をする明光が…。
想像していた兄とはかけ離れた姿に、それなのに自分には笑顔で話をしてくれていた兄の優しさに、それに微塵も気づかなかった自分に、蛍は強いショックを受けたのです。
この過去がトラウマとなり、蛍はどんなに努力したって無駄、とバレーに対して冷めた態度になったのでした。
この回は「88話ショック」と言われるほど、ツッキーファンのみならず、多くのハイキューファンに衝撃を与えるお話でした。
ツッキー…何かあるとは思っていたけれど、まさかそんな過去があるとは。。
小学生のツッキーにとって、高校生の兄はまさにヒーローそのもの。
そのヒーローが嘘をついていて、しかも自分がつかせてしまっていたなんて。。
目を背けたくなるのもわかるよー!!
それでも、バレーは続けているツッキーを見ると、頭では「たかが部活」ってわかっているのに、心の奥では「…でも、何か違う」ってザワザワしていて、その何かを知りたいってバレー部に所属しているような感じがするんですよね。
過去の流れをわかった上で、タイトルの「幻覚ヒーロー」をもう一度見ると、すごく切なくて、でもピッタリだなあって思うのでした。
トラウマから救い出してくれたヒーローは、一番身近にいた

そんなトラウマに悶々としながら東京合宿を過ごす蛍の様子を、一番気にしていたのは幼馴染の山口でした。
小学校から一緒にいる山口は、今までの蛍をずっと見てきました。
誇らしげに兄を語る姿も、兄の話を全くしなくなった時も、烏野バレー部に入ってレギュラーになったくせに、いつもどこかで線を引いてしまう彼も、全部見てきた。
山口にとって、なんでもスマートにそつなくこなす蛍はヒーローでした。
そんなカッコいい蛍が、最近はちょっと違う。
蛍に何かできないか、と合宿中、ずっと考えている様子の山口。
ある日の練習後、みんなが自主練に励む中、いつものように上がろうとする蛍を追いかけ声を掛けます。
「どうしてこれ以上は無理って線を引いちゃうんだよ!?」と息巻く山口に、蛍も最初は淡々と返しますが、どんどんと語気が強くなり、「どうせどこかで負けるのに、みんなどんな原動力で動いてんだよ!?」と言い合いに。
その一言に、山口の脳裏にはインターハイ予選でサーブミスをした自分の姿が蘇ります。
「そんなもん…プライド以外に、何がいるんだ!」
普段、穏やかな山口の強い言葉に、その表情に蛍はハッとさせられます。
今まで、どちらかというと蛍の後ろからついてくる存在だった山口のカッコよさに感化され、蛍は少しずつ行動し始めるのでした。
山口くんって烏野メンバーの中で唯一、ツッキーの小さい頃を知る存在で、描かれてはいないけれど、多分、兄である明光にも会ったことがあるんだと思うんですよね。
兄を慕って、少し恥ずかしげに、でも自慢するツッキーが、ショックを受けた時も一緒にいて…それでもバレーを続けるツッキーをいつも一番近くで見ていた。
だからこそ、その実力や才能もわかっていて、トラウマがあったとしても、戦って欲しかった。前に進んで欲しかったんですよね、きっと。
ふたりが体育館の渡り廊下で言い合うシーン。「プライド以外に何がいるんだ!?」って山口くんが言って、ツッキーがハッとした瞬間、雲の合間から月が顔を出すんです。
月明かりに照らされて、少し吹っ切れた表情を見せるツッキー。
こういう演出も、すごく素敵で、胸にグッときますよね〜!
兄との再会は、原作11巻98話、アニメ2期11話。東京合宿で蛍が変化した後

東京合宿で、山口の鼓舞や、音駒・黒尾、梟谷・木兎との練習で技術も意識も変化した蛍。
帰宅すると、社会人になって家を出た明光が帰省で帰ってきていました。
久しぶりの兄弟の会話。
ぎこちなく返事を返す蛍に、明光は以前と変わらず話しかけます。
今でも社会人チームに所属し、バレーを続けているという明光。
会話の流れから、明光の高校時代の話に。
高校で挫折したにも関わらず、何故まだ続けているのか。
それは、中学時代、一瞬でもバレーボールの楽しさを知ってしまったから。
試合に出られなくて悔しい思いをしても、いや、悔しい思いをしたからこそ、また、あの快感を味わいたい。
気の済むまで本気でバレーをやれる環境にいたい、そう言う兄の言葉に、蛍は少し笑って応えるのでした。
このシーンもとっても好き!
回想シーンでは、挫折した所で終わっている明光のその後にもホッとしたし、挫折を乗り越えて今、それでも笑ってバレーに打ち込む姿に、きっとツッキーも、そして読者のわたしも、なんだか誇らしさを感じました。
どんなに何か好きなことがあっても、その世界のトップに立てるのは、ほんの一握り。
たくさんの人は必ず一度は挫折すると思うし、同じ頂を目指す、自分よりも才能がある人たちの前に挫けることもある。
それでも、その事実を消化しきれなくても、納得いくまでやり続けたっていい。
その姿は決してカッコ悪いものじゃない。
兄の前向きな現在の姿に、さらに吹っ切れた様子のツッキー。過去を克服したツッキーのこれからの活躍が楽しみだなあと感じる回でした。
まとめ
・月島兄、明光の初登場は原作10巻88話、アニメ2期8話。東京合宿中の回想シーンにて
・蛍のトラウマを乗り越えるきっかけを作ったのは、幼馴染みの山口
・兄と弟の再会は、原作11巻98話、アニメ2期11話。東京合宿で蛍が変化した後
今まで頭で押さえ込んでいた分、過去を乗り越えて心が向かう方向へ素直に進み出したツッキーの成長は目を見張るもの!
この後の春高予選、特に白鳥沢戦はめちゃくちゃ見所満載です。
兄・明光も来ちゃダメって言われてるのに応援しに来ちゃってるし。笑
お家以外での兄弟のやり取りも是非チェックしてみてくださいね♪
コメント